とんかつ屋の厨房にインド人――人手不足が変える日本の外食風景

先日、妻が近所のとんかつ屋に行ったところ、店員がインド人らしき外国人に変わっていたという。

中華料理店の店員が全員中国人でも驚かない。インド人がカレー屋で働いていても自然な光景だ。しかし、インド人がとんかつを揚げているとなると、さすがに少し驚く。

しかも妻によれば、「前より味が落ちた気がする」という。

正直に言えば、簡単なレクチャーだけで美味しいとんかつを揚げられるとは思えない。日本人のアルバイトだって難しいだろう。日本語が十分に通じなければ、教える側も教わる側もさらに苦労する。

とはいえ、飲食業界の人手不足は深刻だ。

少子化で若い働き手が減る中、わざわざ油まみれになって熱い厨房で働きたい人がどれほどいるだろうか。外国人労働者に頼るのも仕方がない。

外国人でも美味しい蕎麦を出せる理由

一方、近所には外国人スタッフが働く蕎麦チェーンもある。

こちらは安くて美味しい。店員が日本人でなくても、味に不満を感じたことはない。

理由は単純だ。調理工程が機械化されているからである。

職人の長年の経験や勘に頼らなくても、決められた手順で一定の品質を維持できる。言葉の壁があっても、仕事を覚えやすい。

実際、外食チェーンでは、経験の浅いアルバイトでも調理できるよう、機械化やマニュアル化が進んでいる。

人手不足を外国人労働者で補うなら、こうした仕組みはますます重要になるだろう。

最後に生き残るのはチェーン店ばかり

とんかつ屋も同じ方向を目指せばいい。

しかし、残念ながら街のとんかつ屋には個人経営の店も多い。高価な調理機械を導入する余裕があるとは限らない。

一方、大手チェーンなら設備投資もできるし、調理方法も標準化できる。人が入れ替わっても品質を維持しやすい。

この差は、人手不足が進むほど大きくなるはずだ。

やがて個人経営のとんかつ屋がなくなり、機械化されたチェーン店ばかりが生き残るのかもしれない。

昔ながらの職人が揚げるとんかつが食べられなくなるのは寂しいが、これも時代の流れなのだろう。

そして、いずれは寿司屋も同じ道をたどるのかもしれない。

カウンターに座ると、目の前のロボットが器用に寿司を握ってくれる。

「大将、今日のおすすめは?」と聞いたら、「本日の推奨メニューを表示します」と返ってくる。

そんな未来も、案外遠くない気がする。