「ニューヨークへ行きたいかー!」が帰ってくる——ウルトラクイズ復活で気になる、令和のお財布事情
「ニューヨークへ行きたいかー!」
この一言だけで何の番組か分かる人は、それなりの年齢である。
日本テレビの『アメリカ横断ウルトラクイズ』が復活するというニュースを見た。
若い人や海外の読者には説明が必要だろう。1970年代後半から1990年代まで放送された、日本では伝説的な大型クイズ番組である。
大量の一般参加者を集めて○×クイズからスタートし、勝ち残った参加者100名を実際にアメリカへ連れていく。そして各地でクイズをしながら振い落し、最後の2名がニューヨークを目指す。
知識だけでは勝てない。「知力・体力・時の運」が番組のキャッチフレーズだった。
今でいうリアリティショーに近いのだが、とにかく規模がおかしかった。
参加者の数だけではない。司会者、撮影スタッフ、機材などを引き連れて、本当にアメリカ大陸を移動しながら番組を作っていた。
そして負ければ、その場で終わり。
子どものころの私は純粋にクイズを楽しんでいた。
ところが大人になった今、復活のニュースを見て最初に思ったことは別だった。
「これ、いくらかかるんだ?」
夢のない大人になったものである。
ウルトラクイズは、あの時代だからできた番組でもある
昔のテレビ番組を見返すと、ときどき制作費の使い方がおかしい。
球場を貸し切る。飛行機をチャーターする。海外へ行く。ヘリコプターを飛ばす。大量の出演者とスタッフを移動させる。
今なら企画会議のかなり早い段階で、
「で、予算は?」
と止められそうな話を、本当にやっていた。
特にウルトラクイズの全盛期は、日本がバブル経済へ向かい、テレビ広告に巨大な金が集まっていた時代と重なる。
テレビは広告媒体として圧倒的に強かった。
自動車、家電、食品、化粧品など、日本の大企業が大量の広告費をテレビへ投入していた。
だから、あんな番組が成立した。
クイズ番組なのにスタジオで問題を出せば終わる話を、わざわざ太平洋を渡ってやる。
金の使い方としては完全におかしい。だから面白かった。
そして2026年に復活する
今回の復活版は、さらに面白いことになっている。
アメリカ横断どころではなく、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを巡るルートになるという。
聞いただけなら最高である。
ただし、2026年である。
海外ロケには当然金がかかる。人件費も宿泊費も移動費も昔とは違う。円安もある。
そして何より、テレビを取り巻く経済環境が当時とはまったく違う。
そこで、また夢のない疑問が浮かんでしまう。
誰が金を出すのだろう。
私はむしろ、クイズの出題内容よりこちらが気になってきた。
スポンサーを見るのも面白そうだ
昔なら、日本を代表する大企業がスポンサーに並んでも何の不思議もなかった。
では今回はどうなるのだろう。
もちろん、まだ放送前なので実際のスポンサー構成は分からない。
日本企業が普通に巨額のスポンサー料を出すのかもしれない。
一方で、今の巨大企業を考えれば、海外IT企業やグローバルなプラットフォーム企業が入ってきても不思議ではない。
中国、韓国系企業が登場する可能性だってある。
もし、
「ニューヨークへ行きたいかー!」
と叫んだ直後に、ネットフリックスやサムソンの巨大ロゴがドーンと出てきたら、それはそれで非常に2026年らしい。
番組そのものは昭和・平成の復活なのに、財布だけは完全に令和ということになる。
30年間で変わったものがCMに出る
私はウルトラクイズの復活そのものにはかなり期待している。
昔と同じものをそのまま作る必要もない。今の技術と演出で、昔とは違う巨大番組を作ればいい。
ただ、今回は本編とは別にCMも見てしまいそうだ。
30年以上前、日本企業が元気だった時代に生まれた巨大テレビ番組を、2026年には誰が支えるのか。
そこにはテレビ業界だけでなく、日本経済、広告市場、そして世界の企業勢力の変化まで映るかもしれない。
子どものころは、
「ニューヨークへ行きたいかー!」
で興奮していた。
今は、
「スポンサー料、払えるのかー!」
のほうも気になる。