英語は聞けるのに、日本語字幕が出ると分からなくなる謎

昨日の夜、妻と一緒にテレビのバラエティ番組を見ていた。

途中で外国人が登場し、英語で話し始めた。

せっかくなので、何を言っているのか聞き取ってみようと思った。普段から英語を勉強している身としては、こういう場面でもつい耳が反応する。

ところが、思わぬ敵が現れた。

日本語字幕である。

親切な字幕が、なぜか邪魔になる

耳からは英語、目からは日本語。両方使えば理解が深まりそうなものだが、実際には逆だった。

英語を聞きながら字幕を読むと、途端に何を言っているのか分からなくなる。

英語の音声に集中しようとしても、日本語字幕が勝手に目に入ってくる。そして両者の内容やタイミングが微妙にずれている。

考えてみれば、英語と日本語では語順が大きく違う。

英語は主語の後に動詞が来るが、日本語では動詞が最後に来ることが多い。しかもテレビの字幕は、逐語訳ではなく、視聴者が読みやすいように意訳されている。

つまり、耳と目から入ってくる情報は、同じ内容なのに処理する順番が違う。

二つの言語を同時に理解しようとして、脳内で交通渋滞が発生するのである。

英語を無視すると、本当に聞こえなくなる

そもそも妻とくつろいでテレビを見ているだけだ。英語の勉強をするために見ているわけではない。

そこで英語を聞くのは諦め、日本語字幕だけを読むことにした。

すると、さらに面白いことが起きた。

英語が驚くほど分からなくなったのである。

先ほどまで聞き取れていた単語やフレーズまで、ただの音になってしまった。

英語が流れていることは分かる。しかし、意味を理解しようという意識を切った途端、まるで知らない言語を聞いているような状態になる。

英語力が突然消えたわけではない。脳が英語を理解する仕事を放棄したのだ。

これには少々驚いた。

普段は英語を聞き取る能力を鍛えようとしているのに、意識を日本語に向けただけで、せっかく鍛えた能力があっさり休業してしまう。

同時通訳者の脳はどうなっているのか

そうなると気になるのが、プロの同時通訳者である。

以前、同時通訳は非常に負荷の高い仕事で、15〜20分程度で交代することが多いと聞いた。

相手の話を聞きながら、意味を理解し、別の言語に変換し、さらに自分の口で話す。その間にも次の言葉が容赦なく流れ込んでくる。

考えただけで頭が痛くなる。

私など、英語を聞きながら日本語字幕を読むだけで混乱している。通訳者は、それに加えて自分で日本語を生成しているのだから恐れ入る。

しかも途中で「ちょっと待って、今の英文をもう一度」などと言うわけにもいかない。

プロの通訳者が短時間で交代する理由も、何となく理解できる気がした。

私の脳はシングルタスク仕様だった

今回分かったのは、少なくとも私の場合、英語を聞くなら英語に、日本語字幕を読むなら日本語に、意識を切り替えた方がうまくいくということだ。

両方を同時に処理しようとすると、かえって理解できなくなる。

ITの仕事をしていると、CPUの性能やメモリ容量を気にすることが多い。しかし、自分の脳の処理能力については、これまであまり真剣に考えたことがなかった。

英語を聞きながら日本語字幕を読む。

たったそれだけのことで、処理能力の限界が見えてしまった。

どうやら私の脳は、マルチタスクに対応していないらしい。しかも、メモリ増設もCPU交換もできない。

残された選択肢は、使い方を工夫することだけである。