鉄道が好きだから鉄道専門学校?──それなら普通に理系大学へ行ったほうがいい

教育系の番組で、鉄道専門学校に通う子どもの話をしていた。

鉄道が好きな高校生が「将来は鉄道関係の仕事をしたい」と考えたとき、鉄道専門学校は魅力的に見える。

だが、私ならまず普通の理系大学を勧める。

理由は単純で、「鉄道が好きな人」と「鉄道会社が欲しい人材」はかなり違うからだ。

鉄道専門学校を出ても、鉄道会社に入るとは限らない

駅員、車掌、運転士、保線など、現場の仕事を明確に目指しているなら専門学校という選択はある。

ただ、保線や設備工事のすべてを鉄道会社の社員がやっているわけではない。グループ会社や協力会社、地域の建設会社などが実際の作業を担うこともある。

鉄道専門学校へ行き、「鉄道関係の会社に就職できた」と思ったら、実際の勤務先は線路工事を請け負う建設会社だった、ということもあり得る。

それが希望ならいい。

しかし、大手鉄道会社に入って電車そのものに関わりたいと思っていたのなら、話は違う。

鉄道会社が欲しいのは「鉄道ファン」ではない

そもそも鉄道会社が採用したいのは、鉄道に詳しい人ではなく、会社の仕事をしてくれる人だ。

鉄道会社には電車以外の仕事が山ほどある。

駅ナカ店舗や売店、商業施設、不動産、ホテル、広告、IT、沿線開発。鉄道会社やそのグループは巨大な事業会社でもある。

車両が好きで入社しても、

「次は駅ナカ店舗の管理をやってくれ」

「今度は関連する不動産事業を担当してくれ」

と言われるかもしれない。

そこで「私は電車が好きなので、不動産はやりたくありません」では会社として困る。

だから鉄道へのこだわりが強すぎる人が、必ずしも歓迎されるとは限らない。

会社が欲しいのは **「電車を愛している人」より「ちゃんと会社員をやってくれる人」**なのである。

本当に鉄道に関わりたいなら工学を学ぶ

逆に、車両設計、信号、自動運転、運行システムなどに関わりたいなら、なおさら理系大学のほうがいい。

必要なのは鉄道雑学ではない。

電気・電子、機械、情報、制御、土木といった工学の知識だ。

しかも工学を学んでおけば、鉄道に行かなかったとしても、自動車、電機、ロボット、IT、インフラなど別の業界へ行ける。

18歳の「好き」が30歳でも続いている保証はない。だから若いうちは、選択肢を広く残しておいたほうがいい。

最初から「保線マンになりたい」「車両整備で働きたい」と決めているなら専門学校でもいい。

しかし、「鉄道が好きだから鉄道専門学校」は少し危ない。

鉄道会社は鉄道ファンクラブではない。鉄道会社に入ったところで、毎日電車を眺めていられるわけでもない。

鉄道が好きだからこそ、自分の人生まで単線にする必要はない。

進路には、ポイントが多いほうがいい。