巨人ファンだった父が大谷に夢中――日本のプロ野球はメジャーリーグの二軍になるのか?
先日、実家で父がテレビを見ていた。
画面にはメジャーリーグの試合。大谷翔平が久しぶりにホームランを打った瞬間、父が大声を上げた。
「出たーーーっ!」
まるで自分の息子が打ったかのような喜びようである。
それを見て、私は少し驚いた。
というのも、父は昔から筋金入りの巨人ファンだったはずなのだ。
かつては夜7時になると巨人戦の中継をつけ、勝った負けたと騒いでいた。それが今では、日本のプロ野球にはほとんど関心を示さず、朝からメジャーリーグを見ている。
いつの間にか、巨人からドジャースに移籍していたらしい。もちろん父の話である。
日本人が世界で活躍するほど、国内リーグが寂しくなる
考えてみれば、これは野球だけの話ではない。
サッカーも同じである。
三笘薫や久保建英をはじめ、日本のトップ選手たちはヨーロッパで活躍している。昔なら海外移籍するだけで大ニュースだったが、今では珍しくもない。
日本のスポーツのレベルが上がった証拠であり、喜ばしいことだ。
しかし、世界最高峰のプレーを毎日のように見られるようになると、国内リーグがどうしても見劣りしてしまう。
日本で活躍し、海外から声がかかり、移籍する。そして国内のファンも海外の試合を見るようになる。
選手の成長を喜んでいたら、いつの間にかお客さんまで輸出していたわけだ。
かつて巨人は、日本のスポーツ界の中心だった
昔の巨人の人気は、今では想像しにくいほどだった。
夜7時になれば地上波で巨人戦が始まる。巨人ファンはもちろん、アンチ巨人まで熱心に試合を見ていた。
好きな人だけでなく、嫌いな人まで視聴率に貢献していたのだから、たいしたものである。
ところが今では、地上波の巨人戦中継は大幅に減った。
プロ野球の球場には今も多くの観客が集まるが、かつてのように日本中のお茶の間が同じ試合を見る時代ではない。
その変化を象徴しているのが私の父である。
巨人が勝っても大して騒がないのに、大谷がホームランを打つと絶叫する。
長年応援してきた巨人の立場からすれば、なかなか薄情なファンである。
世界で成功するほど、日本のスポーツは空洞化する?
日本人選手の実力が上がるほど、海外のトップリーグに移籍する選手が増える。
国内リーグは優秀な選手を育てても、その選手の最も輝く時期を海外に持っていかれる。
せっかく育ったスター選手が、いよいよ脂の乗ったところで海外へ行ってしまう。ファンとしては複雑である。
もはや国内リーグは世界トップリーグの2軍になっている。
そんなことを考えながら、今日もテレビの前で大谷を応援する父を眺めている。
もっとも、父にそんな難しい話をしても、おそらく聞いていない。大谷が打席に入れば、もうテレビに釘付けだからだ。
日本のプロ野球が選手のメジャー流出を心配している間に、我が家ではファンのメジャー流出が完了していた。