コネなし、金なし、世襲なし――普通の人が国会議員になる3つのルート

日本の政治家を見ていると、世襲議員の多さが気になる。

親の地盤、看板、鞄。いわゆる「三バン」を引き継げる世襲候補は、最初から圧倒的に有利だ。

では、政治家の家に生まれなかった普通の人間が、国会議員になるにはどうすればいいのか。

考えてみると、大きく3つのルートがある。

ルート1:東大から高級官僚になる

まずはエリートコースだ。

東大などの難関大学を卒業し、国家公務員総合職試験を突破して霞が関のキャリア官僚になる。

そこで政策立案の経験や人脈を積み、40代、50代で政界へ転身する。

「元財務官僚」「元経産官僚」といった肩書きは、政治家としても強力な看板になる。

地盤がなくても、政策に詳しい即戦力として政党から評価される。

ただし、問題は最初のハードルが高すぎることだ。

そもそも東大に入り、さらに官僚組織で出世できる人間など、ほんの一握りである。

普通の人が政治家になる方法を考えているのに、いきなり普通ではない能力を要求される。

ルート2:政治家の秘書から叩き上げる

次は、学歴よりも人間関係と努力がものをいうルートだ。

地元の国会議員の秘書になり、後援会活動や地域回りを担当する。

何年も地元の有力者や支持者と付き合い、政治の実務を覚える。やがて議員が引退するときに後継者として指名してもらう。

これなら、政治家の家に生まれなくても地盤を手に入れられる。

ただし、致命的な問題がある。

仕えている先生に、政治家志望の息子がいたらどうするのか。

何十年も秘書として働き、地元の人脈を築いてきた。

ところが、先生が引退するときになって「やっぱり息子に継がせる」と言い出す。

こうなると、それまでの努力が一瞬で吹き飛ぶ。

実際、後継者の座を巡って、長年仕えた秘書と世襲候補が対立するような選挙も起きている。

秘書ルートで重要なのは、仕事の能力だけではない。

誰に仕えるか。そして、その先生の家庭事情まで見極める必要がある。

もはや政治の勉強というより、就職先選びのギャンブルである。

ルート3:ジャーナリストから政治家になる

最後は、知名度を武器にするルートだ。

新聞記者やテレビのキャスター、ジャーナリストとして実績を積み、名前を売ってから政界へ転身する。

このルートは、野党との相性がいい。

もともとジャーナリストは権力を監視し、政府を批判する立場にいることが多い。

そのため、「今の政治はおかしい」と訴えて野党から立候補する流れが自然に生まれる。

知名度があれば、地盤がなくても選挙を戦える。

ただし、こちらにも難点がある。

野党から当選しても、政権を取れなければ政策を実行する立場にはなかなか回れない。

政府を批判することはできても、自分が政府を動かせるとは限らないのである。

もっとも、国会議員になること自体が目的なら、それでも十分成功と言えるのだろう。

地方議員から国会を目指す道は?

では、もっと身近なところから始める方法はないのか。

例えば、市議会議員や町議会議員になることだ。

こちらは国会議員と違い、地元での活動を積み重ねれば、普通の人にも十分チャンスがある。

地域の問題に取り組み、住民との信頼関係を築き、選挙で当選する。

そこから経験を積み、人によっては県議会議員にまでステップアップする。

一見すると、実に堅実な出世コースである。

市議会議員として何期か務め、地元で実績を積む。

次は県議会議員を目指し、さらに経験と人脈を重ねる。

そして、いよいよ国会議員に挑戦できるだけの地盤が整った頃には……。

すっかりおじいちゃんになっている。

政治家として一歩ずつ出世するのは堅実な方法だが、いかんせん時間がかかりすぎる。

国会議員になる準備が整った頃には、政治家としての寿命が尽きかけているのである。