AIでアプリが簡単に作れる時代、個人開発で一発当てる夢は終わったのか?
昔、個人でアプリを開発して、一発当てようと考えたことがある。
結果は惨敗。ほとんど売れず、いつの間にか開発もやめてしまった。
ところが最近、生成AIのおかげでアプリ開発が劇的に楽になった。以前なら何週間もかかっていた作業が、AIに指示するだけで数時間で終わることもある。
それなら、もう一度個人開発で一発狙ってみるのも面白いのではないか。
そう思って最近の個人アプリ市場について調べてみた。
結論から言えば、昔より絶望的になっている気がする。
レッドオーシャンどころか焼け野原
そもそも、個人向けアプリ市場はAIが登場する前から飽和していた。
家計簿、スケジュール管理、便利ツール。思いつくようなアプリは、すでに誰かが作っている。
そこへ生成AIが登場した。
今や、プログラミングの知識がそれほどなくても、AIに指示すれば、それなりに動くアプリが完成する。
作る側からすれば夢のような時代だ。しかし、商売する側からすれば悪夢である。
自分が簡単に作れるということは、世界中の人間も簡単に作れるということだからだ。
便利なアイデアを思いついたところで、同じことを考えている人間が何百人、何千人といる。
レッドオーシャンどころか、ぺんぺん草も生えない焼け野原に見えてくる。
作れることと売れることは別問題
では、新しいアプリを作って、どうやってユーザーに見つけてもらうのか。
大手企業なら広告費を投入できる。人気キャラクターとのコラボや、既存サービスからの集客も可能だ。
一方、個人開発者にはそんな資金も知名度もない。
いくら優秀なアプリを作っても、誰にも存在を知られなければ、それで終わりである。
AIは開発コストを劇的に下げてくれた。しかし、広告費まで安くしてくれたわけではない。
技術力さえあれば勝負できるという、昔ながらのエンジニアの発想は通用しなくなっている。
それでも一発当てるならゲームか?
では、個人開発で一発当てる可能性が残されているのはどこなのか。
個人的には、ゲームやキャラクターを中心としたコンテンツではないかと思う。
例えば、単純な操作なのに妙に中毒性のあるゲーム。あるいは、独特の世界観やキャラクターがSNSで話題になる作品。
便利なアプリには代替品が存在する。しかし、面白いキャラクターやゲームの体験は、単純に機能をコピーしただけでは代替できない。
もっとも、こちらも甘い世界ではない。
AIを使えばゲーム開発のハードルも下がる。世界中の人間が同じことを考えているわけだ。
しかも、面白いゲームを作る能力と、それをヒットさせる能力は別物である。
結局、こちらも宝くじに近い勝負になりそうだ。
AIが奪ったのは技術者の優位性だった
昔は、アイデアがあっても技術力がなければアプリを作れなかった。だからこそ、プログラミングができる人間には一定の優位性があった。
ところがAIは、その優位性を一気に小さくしてしまった。
技術者にとっては開発が楽になった一方、技術者でなくても市場に参入できるようになったのである。
今後、個人開発で収益を上げるには、開発能力よりも企画力、マーケティング、既存の顧客基盤といった要素が重要になるのだろう。
特定業界の深い知識を生かしたニッチな業務アプリなど、まだ可能性のある分野は残っている。ただ、それは私が昔夢見た「アプリを公開して、寝ている間に世界中からお金が入ってくる」という話とは随分違う。
どうやら、AIのおかげでアプリを作る夢は簡単に叶うようになったらしい。
ただし、アプリで一発当てるという夢のほうは、AIのおかげでますます遠ざかってしまったようだ。