「今週中にFableへ全部投げろ!」と焦っていた私に謝ってほしい。AI各社の迷走から見えた、サブスクの限界
先週の私は、少しだけ仕事の順番を変えていた。
「今のうちにFableへ投げておこう。」
そう思ったからだ。
Fableは最初から期間限定のお試し提供だった。
その後はサブスクの対象外となり、クレジット課金へ移行する。
その説明は最初からされていたので、別に騙されたとは思っていない。
だから私は、設計レビューや技術調査など、重い仕事を優先的にFableへ回していた。
「使えるうちに使っておこう。」
そう考えた開発者は、私だけではなかったと思う。
ところが、その後状況が変わる。
期限は何度も延長され、最終的にはMaxプランなら週利用枠の50%までサブスク内で利用可能という形に落ち着いた。
Maxユーザーとしては歓迎だ。
ただ、この一連のドタバタを見ていて思った。
AIそのものより、AIの売り方のほうが難しいのではないか。
アンソロピックの判断は理解できる
今回の件で、アンソロピックを責める気はあまりない。
最新モデルの計算コストは非常に高い。
サブスクにも利用時間や利用量の制限はあるが、それでも最新モデルを定額料金だけで提供し続けるのは簡単ではないだろう。
だから、
「Fableはクレジット課金。」
という判断自体は、企業として十分理解できる。
利益を出さなければ会社は続かない。
GPUは善意では動かない。
想定外だったのは、ユーザーの反応だった
ただ、おそらく想定外だったことが一つある。
Fableが便利すぎた。
私自身、この期間中に何度も思った。
設計レビュー。
複雑な技術調査。
コードベース全体を見た改善提案。
こういう仕事になると、「これは確かに一段賢い」と感じる場面が少なくなかった。
だから期間限定のお試しと分かっていても、
「終わる前に重要な仕事を片付けよう。」
と考える。
問題は、そのあとだった。
正式サービスではクレジット課金。
すると、
「Maxを払っているのに、更に追加料金なの?」
という不満が一気に噴き出した。
試用期間だということは、みんな頭では分かっていた。
それでも、一度便利さを味わったものを取り上げられ、しかも追加料金と言われると、やはり反感は出る。
だから怒りの本質は、期間限定だったこと自体ではない。
「サブスクなのに、更に払うの?」
という一点だった。
サブスクって、一体何なんだろう
今回の騒動で、ふと思った。
サブスクって、一体何なんだろう。
もちろん、サービス提供側の事情は分かる。
最新モデルは高い。
だから追加料金を取りたい。
理屈としては正しい。
でもユーザーは、理屈よりも先に
「毎月高いお金を払っている。」
という感覚で契約している。
特にMaxユーザーはそうだ。
一番高いプランなのだから、
「一番いいモデルが使える。」
そう期待するのは自然だろう。
そこで、
「最新モデルだけは別料金です。」
と言われれば、
「じゃあ、このMaxって何なんだ?」
という気持ちになる。
実は、これはAI業界だけの話ではない。
動画配信サービスでも、
「サブスク会員です。」
と言いながら、
「最新映画だけはレンタル料金をお願いします。」
というケースがある。
そのたびに私は、
「サブスクって何だったっけ?」
と思ってしまう。
もちろんビジネスとしては理解できる。
話題作は権利料が高い。
だから別料金。
理屈は通っている。
でも感情は別だ。
ユーザーは、
「毎月払っているのに、まだ払うの?」
と感じる。
今回のFable騒動も、本質はそこだったように思う。
この一件は各社の教訓になるはずだ
今回、アンソロピックは最終的に、
「Maxプランなら50%までサブスク内」
という妥協点を選んだ。
おそらく、
ユーザーの不満と、
計算コストの現実。
その両方を考えた結果なのだろう。
ただ、この一件で各社も一つ学んだはずだ。
最新モデルをどう売るか。
そのルールは最初から明確に決めておかないと、後から変更するのは非常に難しい。
今後は、
「最新モデルは従量課金。」
「数か月後にサブスクへ追加。」
そんな形が当たり前になるのかもしれない。
AIより先に解決すべき問題
AIは、この数年で驚くほど賢くなった。
複雑な設計も考える。
長時間の調査もできる。
コードレビューまでこなす。
しかし今回見えたのは、
各社が本当に頭を抱えているのはAIの性能ではないということだ。
どうすれば赤字にならず、
どうすればユーザーも納得するのか。
その答えを、まだ誰も見つけられていない。
AIは世界最高レベルの推論ができるようになった。
それでも、
「この料金プランでユーザーは納得するか?」
という問いだけは、まだAIに聞いていないらしい。
聞いていたとしても、その答えは「まずユーザーで実験してみましょう」だったのかもしれないが。